2012年3月31日土曜日

Mame | マメ | Fashion Brand


「現代社会における戦闘服」をコンセプトに掲げ、仕事や生活、恋愛など現代における女性たちの「戦い」を手助けする服作りを目指すファッションブランドmame。デビューから2シーズン続けて、「面」をテーマにしたコレクションを発表し、多くのジャーナリストやバイヤーなどから注目を集め、3シーズン目となる今回(2012年春夏)は一転、『雑誌』をテーマにした軽やかなコレクションを提示した。早くも次なるステップを予感させる同ブランドのデザイナー、黒河内真衣子を取材した。

Text:原田優輝

ファッションデザイナーを志したのはいつ頃ですか?

幼稚園の頃からこの仕事につきたいと思っていました。お姫様の絵を描く時に、ドレスはもっとこういうものがカワイイなということを考えているうちに、自然と洋服のデザインをしたいと思うようになりました。中学になると、手芸屋さんで生地を買ってギャザースカートを作ったりもするようになりました。長野の田舎育ちで、情報もそんなになかったので、自分の想像だけでイカのようなドレスとか変なデザインをたくさん考えて、高校が卒業するくらいまではそういうデザイン画を描きためていて(笑)。どうすればデザイナーになれるのかということもよくわからなかったので、とりあえずデザインだけは考えておこうと思ったんですね。その頃のデザイン画はまだ取ってあって、いま見返すと笑ってしまうのですが、落ち込ん� �時なんかに見たりしています。

学生時代に影響を受けたファッションデザイナーはいましたか?

私が高校生くらいの頃は、裏原系のブランドや東京のコレクションブランドが元気で、そういうブランドがあることは知っていたし、自分で着ることもありましたが、ちょっと遠い話の気がして、そこから自分がダイレクトに影響を受けるということはありませんでした。ただ、中学生の時に長野の地方新聞の社会面に、イッセイミヤケのコレクションの写真が載っていて、それは、後のA-POCにつながるシリーズの服だったのですが、生地が重なった赤いドレスの中に何十人ものモデルが入っているフィナーレの写真を見た時に、「何だこれは!」と驚いたことを覚えています。そのイメージだけはずっと残っていて、後に自分がイッセイミヤケに入ったというのは不思議なつながりがあって面白いなと。


文化服装学院卒業後、イッセイミヤケ(三宅デザイン事務所)に就職しようと思った理由は?


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それまでの自分は、基本的にプラスをしていくデザインをしていたんですね。でも、ISSEY MIYAKEがやっている仕事は対極的で、シンプルで論理的な作り方をしてらっしゃった。これからの自分の成長を考えると、私にはない魅力的な作り方をしているところで経験をすることが必要だと思ったんです。運良く私が初めて見て衝撃を受けたA-POCの部署に入れたのですが、デザインのポイントや特徴を明確にしつつ、イッセイミヤケというブランドの看板も意識しながら仕事をするという、それまでの自分には全くなかった考え方を勉強することができました。

独立するきっかけは何かあったのですか?

自分のブランドを作りたいという思いは昔からずっとあったので、いつかは独立しようと決めていたのですが、イッセイでの仕事もスゴく楽しかったので、辞めるタイミングは悩みました。結局3年半在籍し、25歳で独立をしました。私は女性なので子供もいつか生まれるかもしれないし、思うように自分がやりたいことができなくなる時も来てしまうかもしないという思いがあり、この3年半の間で経験したことを25歳の自分の視点で噛み砕いたものを作ってみようと思い、独立することにしました。

ブランドを立ち上げるにあたって、コンセプトやヴィジョンは明確に固まっていましたか?

自分の好きなものをブレずに作っていきたいという考えは漠然とありましたが、イッセイでブランドのことを考えて仕事を続けてきた私が、そこを出た時に本当に自分が好きなものが何かということを改めて考える必要があると思い、環境を変えるために半年ほどヨーロッパに行ったんです。そこで旅行をしながら色んな人にあったり、スケッチをとったりして、半年間かけてじっくり自分の頭を整理して、帰国後にスタートするブランドに向けて構想を練っていきました。それによって改めて自分の好きなものなどを感じることができたというのはありましたね。


「現代社会における戦闘服」というコンセプトはどのように作られたのですか?


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仕事や恋愛がある日常や、子供を産んだりする女性にとって、毎日の服を決めることは小さな戦闘だと思っていて。完璧ではない多くの女性たちの、それぞれのコンプレックスをカバーするような服を作りたいと考えていたんです。「今日はこれがあるから、この服を着て行こう」と考えてもらえるような、女性の力添えができる服。特に最初のコレクションでは、ブランドのアイデンティティを強く提示する必要があると思っていたので、甲冑のようなものなど、強めのピースをメインに出していきました。そういうこともあり、コンセプチュアルなブランドと解釈されがちなのですが(笑)、自分の中ではもっと気楽に考えていて、例えばmameの服が、自分に子どもができて公園デビューする時のための服になってもいいし、病気をして� ��院した時に病院でキレイに見えるパジャマでもいいんです。これから私が年を重ねていくなかで、日常における戦いの価値観もどんどん変わっていくだろうし、自分自身が着たい服も変わるはず。その時々で自分が戦っていける洋服を作っていければいいかなと思っています。

コンセプチュアルな服作りに寄りすぎないようにバランスを取っているところがありそうですね。

洋服のテーマや制作プロセスはもちろん重要ですが、それは必ずしも消費者に提示しなくてはいけないものではないと思っています。逆に何の先入観もなくその服を見て可愛い、欲しいと思ってもらえることの方が素敵かなと。その背景に作り手のコンセプトがあればそれで十分で、それを絶対に知ってもらおうとは思いません。

例えば、デビューシーズン(2011年春夏)のコレクションテーマは「面」でしたが、このようなテーマははじめに設定するのですか?

テーマは毎回最初に決めるようにしています。特に1,2シーズン目の「面」というテーマは、mameというブランドを知ってもらうためにも必要だと思い、だいぶ前から決めていました。女性が持つ仕事とプライベートというふたつの面だったり、恋愛をした時に、好きな人に自分の外見だけではなく、その中身も見てもらいたいと思う気持ちなどを表現したかったんです。自分のもの作りにおいても、中身までしっかり見てほしいという思いがあり、強いフォルムでありながら素材を透明にしたりしました。

最新シーズン(2012年春夏)のテーマは『雑誌』。トラベル誌「TRANSIT」のメキシコ特集号がデザインソースになっているということですが、これはどのように決まったのですか?

「面」というテーマを2シーズン続けることは最初から決めていて、次のステップとしてやってみたいテーマもいくつかあり、その中に雑誌というのもありました。デビューのテーマが割と感情的で重いものだったこともあり、次は良い意味でもっとリラックスしたものにしたかったんです。


組織コミュニケーションは何ですか?


「雑誌」の中でも特定の一冊をテーマにしたのはなぜですか?

以前にドイツを旅行している時に泊まったところに「TRANSIT」が置いてあったんですね。その時に見たのは東欧特集の号だったのですが、自分がまだ行ったことのない場所なのに、それを読んだだけで行った感覚になれるのが面白いなと思ったんです。今はTwitterやFacebookなどを使えば、その人と会っている感じがするし、ネットショッピングだけで買い物に行った気もする。その感覚がスゴく面白いなと。だから、雑誌をテーマにするなら旅行雑誌がいいと思い、「TRANSIT」の中から自分が行ったことのない国で惹かれるところの特集号を選ぼうと思い、直感的にメキシコがいいなと思ったんです。一冊の限られた情報源の中でものを作る方が面白いと思ったし、一冊の中にじゅうぶん色んな情報があるので、これに限定してイメージをふ� �らませていきました。

実際にはどのように洋服に落とし込んでいったのですか?

「TRANSIT」に載っている写真は、額装してもいいような美しいものばかりなのですが、そこに当たり前のように文字が乗っていたりするのが雑誌の面白さだと思うんですね。写真をアートピースのように扱うのではなく、色んな要素を組み合わせることでひとつの商品になり、読者に渡っていくという作り方や流れが、服作りにも似ているような気がするんです。だから、雑誌に載っている写真そのものだったり、メキシコの土着的な要素などを洋服に落とし込むのではなく、雑誌としてのページ構成の仕方や紙の質感などに着目しました。例えば、誌面を構成する余白などを表現するために、デニムをブリーチして色を抜いたり、写真の上に乗っているタイポグラフィをイメージして、シルクのパイピングを施してみるなど、雑誌のディ テールを洋服に落としこむという作業をしていきましたね。


デビュー時から続けている塩化ビニールとアクリルによる小物のシリーズには、どんな意識で取り組んでいるのですか?


このシリーズでは、誰もが知っている素材を使って、見たことのないものを作っていきたいと考えています。先日、DESIGNTIDEにも出品したのですが、洋服のラインとは少し分けて考えているところもあって、こっちだけが単体で別の場所に行くようなことがあってもいいかなと思っています。洋服の場合は色んな人たちの手が入って一着になりますが、このアクセサリーに関してはサンプルは自分が一から始めて、編むところまでやっているので、どちらかというとアートピースに近いものなのですが、これがプロダクトとして成り立っていくということにも最近は興味を持っています。

どういうきっかけでこのアイデアは生まれたのですか?

昔から東急ハンズが好きで、イッセイにいる時から、ネジやテープなどを見る度に「これをアクセサリーにできないかな?」というようなことをいつも考えていたんです。それである時、卓上に引くシートでスゴくキレイなものを見つけて、それを1メートルくらい買って帰ったんですね。実際にカットして立体にしてみたら、ビニールなのにガラスのように見えてとてもキレイだったので、自分がブランドを始めたら、これでアクセサリーを作ろうと決めていたんです。もともと小物を作るのは大好きなので、今後も機会があればまた全然違う素材で何かを作れるかもしれないし、その辺は自分でも楽しみですね。

ブランドをスタートしてからまだあまり時間は経っていませんが、未来のヴィジョンなどがあれば教えてください。

いまこうしてインタビューをしてもらえているということはとても光栄なことなのですが、もし仮に、何年か経った時に「mameってまだやっているんだ」と思う人が出てきたとしても、謙虚に、ブレずに、クオリティを保ったもの作りをしていきたいと思っています。いつまでもジワジワと、日本で作れる良いクオリティの洋服を、色んな国の人に届けていきたいという気持ちがあるんです。いま取引をさせて頂いている方たちはみんなとても丁寧な仕事をする人たちで、そういう職人さんがいるからこそ、私の仕事は成り立っている。だから、例えば私の服がヨーロッパやアメリカなどで他のブランドと同じラックにかかった時に、日本の洋服のクオリティの高さを、多くの人に意識してもらえるようなものを作っていきたいなと思って います。



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